そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

静かにそう告げたハンナの面持ちがとても穏やかだった。

半魔族ではあっても、ゼノンの娘である自分に対する希望や期待も感じ、ソフィアの心はわずかに震える。


「ありがとう、ハンナ。私、ますます頑張れるわ!」


自分の悲惨な運命を跳ね除けるためだけでなく、頑張ることでハンナに喜んでもらいたいという気持ちがゆっくりと芽生えていく。

ソフィアはペンを握りしめたまま勢いよく椅子から立ち上がり、目を輝かせながら言葉を返した。



午後の勉強を終えると、ほどなくして夕食の時間となり食堂へ。

以前はひとりで食べることが多かったが、ここ最近はソフィアがお願いし、侍女のみんなと夕食をテーブルを囲んでいる。

そこで時々飛び出す色恋やいざこざなどの王宮内の話に、六歳なのでわからないと言った風を装いながらもしっかりと聞き耳を立てた。

夜、ベッドの中で『光の魔力、初級編』を何とか読破。

光の魔力は主に回復系で、以前、自分が王宮医にそうされたように、輝く手のひらから光の波動を放出し、免疫の促進や精神の安定、患部への治癒効果を高める働きがあると書かれてあった。

そして、魔族には苦手な魔力であるが、武族(時折、半魔族にも)に得意とする者が多く現れる傾向があるともあった。

< 46 / 276 >

この作品をシェア

pagetop