そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
これだけは譲れないとソフィアに真剣な顔で見上げられ、ルイスは小さく息をつく。
「えぇ。その通りです。ひとりの食事が寂しいなんて気持ちは、理解しかねます。……むしろひとりきりでの食事の方が、煩わしさを一切感じることなく快適かと」
考え方の違いから、いくら話しても平行線のままだと悟り、ソフィアは思わず遠い目をする。
「……まぁ、姫様が望むならこの件に関しては目を瞑りましょう。しかし、あなた方は決して姫様の友達などといった気軽な関係ではありません。お仕えする身であることを今一度肝に銘じてください」
ルイスの言葉にハンナたちは「はい」と返事をし、再び頭を下げた。
大ごとにならずに済んだことにホッとしてソフィアは自分の席に戻るも、なんだかやっぱり少し不満は残る。
「身分が何よ。私の身分なんてあってないようなものじゃない。生贄なんだから」
ボソッと愚痴ったソフィアを、今度はハンナが「姫様」とやんわり注意する。
少しだけ膨れながらもスープを飲もうとしたソフィアだったが、ふとハンナや侍女たちが席に着かず、控えるように立ち続けていることに気づき、寂しさが湧き上がる。