そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

そうこうしているうちに運ばれてきたスープやパンにサラダを、ルイスは早速食べ始める。

それを見て、ハンナたちもそれぞれの席につき、緊張の面持ちではありながらも食事を再開する。

最初こそぎこちない空気ではあったが、「食べ方が汚いですよ。もう少し上品に」とルイスに注意されても、「わかったわかった。明日から気をつけるわ」と直す気なしなのが透けて見えるソフィアに、侍女たちの間で時折笑い声も起き始めた。

少し穏やかな空気になったところで食事を終えると、ソフィアとルイス、それからハンナも一緒にソフィアの部屋へと移動する。

室内に入ると、ルイスは持っていた大きな黒いバッグを丸テーブルの上に置き、「姫様が座るための椅子をこちらに」とハンナに要求する。

ハンナは素早く反応し、机の椅子を丸テーブルの横へ。

ソフィアはそれに腰掛けて、ルイスがバッグから取り出した金色の縁取りがされた真っ白な紙を、丁寧にテーブルへと置く様子を緊張の面持ちでじっと観察する。

魔力属性の鑑定はどのように行われるのだろうかと不安と期待で胸を高鳴らせていると、立派な羽ペンとインクも並べ終えたルイスが小さく息を吐き出し、「始めます」とソフィアの目の前に立った。

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