そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

現れた侍女たちがほとりに大きな敷物を敷く。そこに侍従たちも加わり、次々と並べた器の上に色鮮やかな果物を置いていく。

それとは別に、もう一枚敷かれた敷物に小振りの弦楽器を持った三人が揃って腰を下ろしたことで、ソフィアはまさかと顔を青くさせた。

そして予想は的中する。

王宮の方から大勢の魔族たちを連れてやってきた人物が、最初に準備された敷物の中央に腰を下ろすと明るい音楽が奏でられた。

綺麗な女性を両脇に従えたその男性こそ、王でありソフィアの父でもあるゼノンだ。

ハンナもその一行に気づいたらしく、顔を強張らせて「姫様、こちらへ」と小声で呼びかけながら橋のたもとまで戻ってくる。

わかっているし、自分だってそうしたい。

けれど、ハンナに目は向けられても、完全に怖気付いてしまったソフィアの足は動かなかった。

そうこうしているうちに、ゼノン側にいる男性の誰かが「おい、あれ」と声を発した。

嫌な予感と共に視線を移動し、ソフィアは息をのむ。

やはり自分がいることを気づかれてしまっていて、皆さっきまで楽しそうにしていたというのに、侮蔑のこもったような表情へと変化していた。

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