そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「お前、光の魔力を扱えるんだって? すでに馬に治癒行為を行なったとか。半魔族なのだから動物相手がお似合いだ。みんなそうすればいいのに」
そこで男が「ははっ」と馬鹿にするような笑い声を挟み、ソフィアはすっと真顔になる。
「王宮医にも半魔族がいるが、やっぱり自身の治療は優秀な魔族にお願いしたいね。半魔族に治療してもらうなんて、信用ならない。俺は断固拒否するよ」
ソフィアがそっと本を持ち直すと、男は表紙を見てギョッと目を見開いた。
借りていた薬草の本の裏表紙には毒草の絵がデカデカと書かれていて、「じわじわと死に至らせる毒草ラムロームズ」という不穏な文言が添えられている。
「その言葉、覚えておきます。私も、何かあっても、あなただけは絶対に助けないわ」
ついでにソフィアがにこりと笑いかけると男はわずかに顔を青くする。
不満げにぶつぶつ呟きながら列を離れた男と、書棚の奥から颯爽とした足取りでやってきたマシューが途中ですれ違う。
不思議そうに男を振り返りながらも、そのままマシューはソフィアたちの元へ。