そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

「何かあったのか?」と問われてハンナは苦笑いし、ソフィアはさりげなく本をひっくり返して毒草の裏表紙を隠した後、「何も」と微笑んだ。

借りていた二冊を返却し、ソフィアたち三人は児童書が置かれている書棚へ。


「えぇと、これと……これでしょ」


前もって借りようと考えていたタイトルの本をすぐに手に取ったソフィアへと、マシューが話かけた。


「姫様、他に何か読みた本は?」

「えぇと。それなら傷薬の作り方とか載っている本が良いわ」

「傷薬って、魔法薬にも興味を持ったのか?」

「実はね、さっき森で運よく薬草を見つけたの。だからそれで塗り薬を作ってみたいのよ」


ソフィアはこそっとマシューに打ち明けたつもりだったが、もちろんすぐそばにいるハンナにもしっかり聞こえていて、「あんな場所で何をしていたのかと思っていたら、そうですか薬草ですか」と軽く項垂れる。

マシューはゆっくりとソフィアのそばに移動し、秘密の話をするように囁きかけた。


「それなら二階に行かないか? 子供にもよくわかる魔法薬の本があるんだ」

「本当⁉ 行きたいけど……」


マシューの誘いにソフィアは一瞬パッと目を輝かせはしたが、すぐに表情を曇らせる。

< 72 / 276 >

この作品をシェア

pagetop