そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
同様に、ハンナも「二階だなんて」と顔を強張らせて難色を示した。
「……マシュー様、私どもは上の階に許可なく入ることはできないようでして」
言いながら視線を上昇させたハンナにつられて、ソフィアも見上げた。
吹き抜けとなっているため二階の様子を目にすることはできるが、ここからでは部屋の扉がいくつか並んでいるのが見えるだけ。
もちろん何度も利用しているため、上の階があるのにはとっくに気づいていて、四ヶ月ほど前に、上階には何があるのだろうという好奇心からソフィアが階段を登ろうとした事があったのだ。
しかしその時、貴族服の偉そうな魔族の男が降りてきて、「ここから先、自由に出入りできるのは魔族の者だけだ。半魔族は許可なく入ってくるな!」と罵倒されたのだ。
マシューはハンナのひと言に切なげな表情を浮かべてから、力強い微笑みと共に首を横に振る。
「本当にふざけた話だが、大丈夫、実はもうすでに話はついているんだ。ソフィア姫の見聞を広めたいからと話したら司書たちは快く許可してくれたよ」