そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
ソフィアはハンナと顔を見合わせながら、王宮執務官長であるマシューが一緒なら文句を言ってくる人もいないだろうと考える。
二階にも本があるというのなら、ぜひ見てみたいと気持ちを強くし、「行こう」と先導して歩き出したマシューを追いかけるようにソフィアも歩き出した。
受付の近くに二階へ上がる階段があり、いつもは誰もいないのに、今日は騎士団員がひとり立っていた。
騎士団員に軽く会釈をしたマシューに倣って、ソフィアもハンナと共にちょこっと頭を下げ、一段一段階段を登り始めた。
ひと気のない二階通路を奥まで進んだところでマシューの足が止まる。
「姫様、さぁどうぞ中へ」
目の前の重厚な扉を押し開けて、マシューが促す。
部屋の中はどうなっているのかとソフィアはワクワクしながら戸口をくぐれば、そこも短いながらも通路となっていて、確認するようにマシューを見上げた。
「そのまま進んで行ってください」
にこやかにそう言われ、ソフィアはにこりと頷いて、綺麗な花の模様が彫られた仕切り壁に触れながらゆっくりとその先へと進み出す。
仕切りが途切れたところから部屋の中を覗き込み、見つけた人物にソフィアは思わず息をのむ。