そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「ソフィアはまだ六歳。俺の庇護下から出す気はない」
「おっ、お父様!」
自分を抱き上げたのがゼノンだったことにソフィアは驚きで目を大きくさせる。
モーガンも威圧的だったが、カリスマ的な雰囲気も纏っているゼノンには敵わない。
ゼノンに鋭く睨みつけられ、モーガンはわずかに萎縮するようにごくりと唾を飲み込む。
ソフィアを抱きかかえたままゼノンは図書館の中へ向かって歩き出すが、恰幅の良い男のそばでぴたりと足を止めた。
「おい。武族に嫁ぐのはソフィアだと、赤子の頃から決まっていたと言ったな」
男は声をかけられた瞬間、すくみ上がったが、すぐに畏まるように頭を下げて答える。
「……は、はい。私はそのように存じておりますが」
「俺に断りもなく、いつ誰が決めたんだ?」
静かだが、怒りに満ちたゼノンの声が響き、男は顔色をなくして完全に黙り込む。
殺気交じりにゼノンは舌打ちして、その場を後にした。
図書館の中を抱っこされた状態で進みながら、ソフィアは不思議な気持ちになっていた。
ゼノンが「この娘を武族への生贄に」とでも発言したために、生贄姫と言われるようになったのかと想像していたが、どうやら違うらしい。