そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

むしろ、ゼノンはそこに関与しておらず、自分の知らない所で勝手に話が進んでしまったかのような言い方だった。

『メレディスの祝祭歌』では主人公であるメレディスが武族出身なためか、プレイしただけでは魔族側の細かい事情まではわからなかった。

ゼノンルートがあればまた違ったのかもしれないけどと、物思いに耽りながら美麗な横顔を間近で眺めていたが、ふと気になって、ソフィアはいつもの調子でパーソナルデータを覗き見ようと試みる。


「……あ、あれ?」


目の錯覚かと思い、瞬きを繰り返したり、ゴシゴシと目を擦ったりしてみたが、現れたデータはいつもと様子が異なっていた。

フレームの上に『ブロックスキル発動中』とあり、名前から年齢にレベルと、情報全てにモザイクがかかっていて何も読み取ることができなかったのだ。


「こんなの初めて見たわ」


思わず発した呟きに反応して、ゼノンがソフィアを見た。

眼差しで何のことかと問われた気がして、ソフィアは慌てて「お父様は背が高いから、遠くまでよく見えるわ。すごーい」とはしゃいでみせた。

これまで何人ものパーソナルデータを見てきたけれど、ブロックされたのは初めてのこと。

どうしてと考えても明確な理由などわかるはずもない。

< 89 / 276 >

この作品をシェア

pagetop