そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
さすが魔王だわと感心させられる一方で、もしかしたらすごいデータを隠し持っているのでは好奇心を掻き立てられる。
どうにかして見れないものかと、ソフィアは繰り返しゼノンのパーソナルデータを呼び出す。
至近距離から怖いくらいに真剣な顔で凝視してくるソフィアに、たまらずゼノンが「俺の顔に何かついているか?」と疑問をぶつけたのは言うまでもない。
勉学に明け暮れて七年が過ぎ、ソフィアは十四歳となった。
清々しい朝の空気の中、ソフィアは王宮の前に停まっていた馬車へハンナと共に歩み寄り、馬車の傍らに待機していたマシューと騎士団員ふたりに対し、膝を折って優雅にお辞儀をする。
「今日はよろしくね」
「我々の命に変えても、姫様をお守りいたします」
「やだ。大袈裟よ」
胸に手を当てて礼儀正しく言葉を返してきたマシューに、ソフィアはニコニコ笑いかけたが、緊張から徐々に口元が強張っていった。
今日はこれから、武族の王子クラウドの元へ婚約者候補の一人として会いに行く予定となっている。
この日のために新調した黄色のドレスに身を包み、髪もドレスに合うように可愛らしく編み込んでもらっている。