そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

自分に向けられた執事の男の眼差しが幾分鋭く感じ、ソフィアはほんの一瞬怯んだが、毅然とした態度を崩さぬまま、スカートをわずかに掴んで、優雅に膝を折り、礼儀を尽くして挨拶を返した。


「ソフィアです。本日は私のためにお時間を作っていただきありがとうございます」


最後ににこりと微笑みかけると、顔を上げた執事が目を大きくさせ、表情を柔らかくした。


「ソフィア様、どうぞお入りください。クラウド様がお待ちです」


玄関を押し開けた執事に促され、ソフィアたちは洋館の中へ。

柔らかな絨毯が敷き詰められた廊下、柱や階段の手すりは細やかな模様が彫られ、ソフィアは目を輝かせる。

廊下の花瓶には、白に赤の縁取りが入った可愛らしい花が飾られていて、好奇心に誘われたソフィアの足がそちらに向かう。


「これ、図鑑で見たことがあるわ! ケットジアに生息する有名な花のうちのひとつだったはず。確か名前はマリア……えーと」

「マリアネアでございます」

「そうそう、マリアネラ!」


執事が朗らかに答え、ソフィアもニコニコと笑いながら、列に戻っていく。

一行が再び廊下を進み始めると、執事が柔らかな声音でソフィアに話しかけた。

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