そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「自国の花でないのに、よくご存知で」
言われてソフィアは内心苦笑いする。さっきは図鑑で見た花だと言ったが、実はそうじゃない。
乙女ゲーム『メレディスの祝祭歌』に登場する花で、部屋の前に花と茎の部分が分断された状態で置かれているのを見つけ、メレディスが恐怖心を覚えるシーンがある。
そしてそれを置いた犯人は、嫉妬心に駆られたソフィアなのだが、もちろん今のソフィアにはそんなことをするつもりはさらさらない。
「綺麗な花ですもの興味をもつわ。自国だろうが他国だろうが、そんなもの関係ない。花だけじゃなく、美味しいものだってそうよ。ケットジアで気になったのは、ルリージェってお菓子ね。ケーキにマリアネラの蜜を使っているのでしょ? 食べてみたいわ」
「そうですか。それでしたらお土産に用意させましょう」
「本当⁉ ありがとう! とっても嬉しいわ」
言葉通り嬉しそうに顔を綻ばせながら執事の手を握りしめ、今にでも抱きつきそうな勢いのソフィアに、ハンナが「姫様」と注意する。
慌てて「ごめんなさい」と執事から距離を取ったソフィアに、執事はゆるりと首を横にふり、にこりと微笑んだ。