そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「最後にお見えになる候補の方がゼノン国王陛下の姫君だと伺っておりましたから、これまでよりもさらに気難しい方かもと予想しておりましたが、全く違いました。とても明るくて素直な姫君でいらっしゃる」
武族へ嫁ぐ娘はソフィア一択のような状態だったが、約半年前にゼノンが発した「相手がソフィアを気にいるとも限らん、もっと選択肢を与えるべきでは?」というひと言から、ソフィアと同年代の魔族の娘がふたりほど選ばれたのだ。
そのふたりはすでに、昨日一昨日とそれぞれクラウドに会いにこの洋館を訪ねている。
最近は関係が落ち着いているが、これまで魔族と武族の間には衝突し争い続けてきた歴史がある。そのため、魔族の中には武族を毛嫌いしている人々も多い。
王宮で、父親相手に嫌がる様子や、不機嫌な顔で歩いていく彼女たちの姿を見かけているため、それはそれは気難しい相手だっただろうと察し、なんだか申し訳なく思えてくる。
大きな扉の前で先頭を歩いていた執事が立ち止まり、軽く扉を叩いた。
「クラウド様、ソフィア様をお連れいたしました」
執事は返事を待たずに扉を開けて、「どうぞ」とソフィアを促す。ソフィアも頭を下げてから、室内へ足を踏み入れた。