シュクリ・エルムの涙◆
 ともかくパパはそれからママと飛行船で旅をして、仲間と共に化け物もそれを操る悪い人もやっつけて、で……一件落着! パパとママは結ばれて、いつまでも幸せに暮らしましたとさ~……とは、ならなかった。

 パパは自分の故郷をジュエルから解き放ちたかったから──。

 ジュエルの魔法で悲しみの癒される平和な世界。でもそんな苦しみは、本当は自分の力で乗り越えなくちゃいけない! そう考えていたパパは、その訴えを受け入れないジュエルを消し去ろうと、或る「祈り」を捧げてしまった。

 ジュエルが拒否出来ない、自分の命と引き換えの『唯一無二の「祈り」』──それを寸での所で止めたのは──ママだった!!
 
 ママはパパの願いを解消する『鍵』をギリギリ見つけたの! でもそれは本当に本当にギリギリで、ジュエルもパパも消えずには済んだけれど、それから二年弱は眠り続けてしまった。

 だけどねぇ~ぇ! やっぱり二人は結ばれる運命だったのね!!

 パパの想いを受け入れたジュエルは王国ヴェルを解放して、全ての民に自由を与えた。

 そうして普通の島国と化したヴェルの地で、パパは沢山の愛情溢れる祈りを捧げられて、ついに目を覚ましたんだ!

 小さい頃のあたしに、ジュエルは二人の過去を曖昧にしか示してくれなかったけれど、もう十四歳になったあたしには、最近ちょっと大人なことも教えてくれる。

 パパがヴェルの広大なラヴェンダー畑の真ん中で目覚めた時、初めて口にした言葉、それはママが望んでいた通り、

「お姫様、どうか僕に目覚めのキスを」

 だったとか~、それからパパが望んだ通り、熱烈な口づけを捧げられたとか~、
 でも極めつけはその直後!

 パパは後ろで温かく見守っていたツパおばちゃんとタラおばちゃんに振り返って、こう言ったんだって。

「ごめん……これから三日、僕達に時間をくれる?」

 これって分かる~? パパとママの愛の三日間だよー! キャー!!

 ……おっと、つい興奮しちゃった~ごめんなさい。


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