イケメン、お届けします。【注】返品不可
「女性と交際したことがないから、相手が幸せになれるかどうかはわからない。ただし、あかりを幸せにする自信はある」

「そうで……え? はい? いま、女性と交際したことがないって言いました?」


イケメンのモテ自慢だろうと聞き流しかけ、そうではないことに気づいて耳を疑った。


「ああ。こうしてデートをプランニングし、相手に合わせて休日を過ごすのは初めてだ。これまで、女性とはあくまでも性欲を満たすための付き合いしかして来なかった。定期的に会いたいと思うような相手がいなかったし、相手の都合に合わせるのも面倒だった。そんなことに時間を費やすくらいなら、仕事をしていた方がマシだと思っていた。でも、」


口からでまかせ、とは思わなかった。

朝からいままで、オオカミさんの言動を振り返れば、形式的なレディファーストはできても、女性の扱いに慣れているとは言い難い振る舞いばかり。

イケメンだからスマートで、完璧なデートにしてくれるのが当たり前だと思う女性なら、朝の段階でさっさと見切りをつけたことだろう。


(まあ、わざわざデートしなくても、この容姿だし、たぶんセレブだろうし、黙っていても美女がホイホイ寄って来て、選び放題なんでしょうけれど……)


オオカミさんは、恋人ではない。
こうしてわたしとデートしているのも、ルミさんに頼まれたから。
だから、何も考えずにイケメンと過ごす一日を楽しめばいい。

なのに、過去に彼が関係を持った美女たちのことを思うと、モヤモヤしてしまうのは何故なのだろう。


「……あかりは別だ。あかりと一緒にいると、何ら生産性のない行動に付き合わされても、気にならない。こんなことをするくらいなら、仕事をしていた方がマシだとは思わないんだ」

「……リップサービスをどうも」

「リップサービスではない。本心だ。あかりと、もっと一緒にいたいと思う」

「あ……ありがとう、ございます」


口ではお礼を述べたものの、ストレートすぎるオオカミさんの言葉に心を揺さぶられ、本気にしそうになっている自分に苛立っていた。


(もっと、って……今日一日だけの関係じゃないの。勘違いしそうなこと言わないでよ!)


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