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もう二度と恋なんかしない! なんて若気の至りで誓いを立て、勉学に専念して大学を無事卒業。
第一志望だった現在の勤め先に無事、就職を果たした。
そして、「恋なんてしない!」という誓いをあっさり破り、指導係をしてくれた先輩社員といい雰囲気に。
が、いよいよ二人きりで食事のお誘いを受けたところで、お局様より「あの男、学生時代からの彼女と婚約しているわよ」というお告げを受け、乙女モードはシャットダウン。
そのほかにも幾人かと付き合ったが、二股、浮気は日常茶飯事。結婚詐欺、ホストまがい、キャッチセールス目的など、ロクデモナイ相手ばかりを引いている。
悲惨に尽きる恋愛経験の数々だが、どれもこれも危ういところで踏み止まり、借金を背負うことも訴えられることも、ストーカー被害に遭うことも免れている。
奇跡に近いと思う。
男運はなくとも強運ではある。
乙女心はすでにズタボロだけれど。
「ある意味、すごい出会い運ね……。あかりちゃん、すぐ他人を信用しちゃダメよ? 世の中、いい人ばかりじゃないのよ?」
「わかってますよ! でも……信じるより、疑う方が疲れるし」
いちいち人の言動の裏を読んだり、親切に下心が含まれていないか疑ったりするのは面倒だ。
誰に対しても偏見や先入観を持たずにフラットに対応すれば、当たり障りのない最低限の関係は維持できるし、知らなければ幸せなままでいられることも、多々ある。
「決定的なことが起きない限り、性善説でいたいんです」
「そういうところ、利用されちゃうのかもしれないわねぇ」
意外なルミさんの言葉に、首を傾げる。
「どういう意味ですか?」
「サインに気づいていても、見たくなければ目をつぶるってことでしょう?」
「それは……」
「だから、相手にとって都合のいい女になっちゃうのよ。あかりちゃんが、いつも一歩引いた感じだから、相手もこれくらいなら許してもらえるだろうと思うのかもね」
「…………」
グサリと来た。
身体だけの関係を結んだことはないけれど、これまで付き合った人たちのことが「すごく」好きだったのかと訊かれれば、どれも微妙だ。
いつからか、相手に何かを期待するだけ無駄だと思うようになっていた。
第一志望だった現在の勤め先に無事、就職を果たした。
そして、「恋なんてしない!」という誓いをあっさり破り、指導係をしてくれた先輩社員といい雰囲気に。
が、いよいよ二人きりで食事のお誘いを受けたところで、お局様より「あの男、学生時代からの彼女と婚約しているわよ」というお告げを受け、乙女モードはシャットダウン。
そのほかにも幾人かと付き合ったが、二股、浮気は日常茶飯事。結婚詐欺、ホストまがい、キャッチセールス目的など、ロクデモナイ相手ばかりを引いている。
悲惨に尽きる恋愛経験の数々だが、どれもこれも危ういところで踏み止まり、借金を背負うことも訴えられることも、ストーカー被害に遭うことも免れている。
奇跡に近いと思う。
男運はなくとも強運ではある。
乙女心はすでにズタボロだけれど。
「ある意味、すごい出会い運ね……。あかりちゃん、すぐ他人を信用しちゃダメよ? 世の中、いい人ばかりじゃないのよ?」
「わかってますよ! でも……信じるより、疑う方が疲れるし」
いちいち人の言動の裏を読んだり、親切に下心が含まれていないか疑ったりするのは面倒だ。
誰に対しても偏見や先入観を持たずにフラットに対応すれば、当たり障りのない最低限の関係は維持できるし、知らなければ幸せなままでいられることも、多々ある。
「決定的なことが起きない限り、性善説でいたいんです」
「そういうところ、利用されちゃうのかもしれないわねぇ」
意外なルミさんの言葉に、首を傾げる。
「どういう意味ですか?」
「サインに気づいていても、見たくなければ目をつぶるってことでしょう?」
「それは……」
「だから、相手にとって都合のいい女になっちゃうのよ。あかりちゃんが、いつも一歩引いた感じだから、相手もこれくらいなら許してもらえるだろうと思うのかもね」
「…………」
グサリと来た。
身体だけの関係を結んだことはないけれど、これまで付き合った人たちのことが「すごく」好きだったのかと訊かれれば、どれも微妙だ。
いつからか、相手に何かを期待するだけ無駄だと思うようになっていた。