クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
「本館の屋上からよく見えるらしい。」
いつの間に聞いたんだろ?
エレベーターで屋上に行くと、
他にも数人のカップルが居たが気にならない程度だった。
空を見上げると満天の星空。
空気が澄んでいて都会の何倍も多く見える。
「うわぁ。綺麗」
おもわず、感嘆の声を上げる。
手すりに寄りかかって、背中には修哉さんが私を抱きしめるように囲む。
「星の数凄いですね!」
「本当だ。」
しばらく2人星空を眺める。
「家からはこんな風には見えないな。」
「修哉さんの家は夜景が綺麗だから、星の光が負けちゃうんですよ。」
「小春の家でもある。」
そこかなりこだわってますね。
とツッコミたくなる。
「今日は連れて来てくれて、ありがとうございます。実家にも行けたし良かったです。きっと1人だったら行けなかったと思うし。」
「俺が来たかったんだ。
小春の親にも会いたかったし。これからはもっといろんなところ2人で行こう。」
「普通に旅行とか母親が死んでから行ってなかったな。」
修哉さんが呟く。
「学校行事も?修学旅行もですか⁉︎」
「面倒だと思ってたし、叔父にも悪いと思ってそんな時間があるならバイトしたかったんだ。」
そうか。
修哉さんはお母さんが亡くなって初めて知った叔父さんできっと、お願いする事も甘える事も出来なかったのかもしれない。
涙が出そうになって振り返って修哉さんに抱きつく。
「どうした⁉︎」
突然抱きついてびっくりしたらしい。
「私にはもっと甘えてくださいね。わがまま言って下さい。」
「俺が?小春に?」
優しくふわりと抱きしめられる。
ドンッと花火が鳴る。
ビックっとして慌て振り返る。
思いのほか近くで上がって音が響く。
スターマインが続いて花火の音と光に圧倒される。
「こんなに近くで花火見たの初めてです。」
「俺も。」
修哉さんも感動してるのかな?
まったく顔に出ないから分からないけど、きっとこの景色は一生忘れない。