財界帝王は初恋妻を娶り愛でる～怜悧な御曹司が極甘パパになりました～

「ありがとうございます。男の人から花束をもらったのは初めてです。お花に慣れ親しんでいても、これだけの真紅のバラを持ったことはないです」

「喜んでもらえて良かった。それと、これはプレゼントだ」

　もう大学生ではないので、長く持っていられるハイブランドのバッグと腕時計をプレゼントに決めた。

「私には……」

「いや、似合うはずだ。家に帰ってから開けて見てくれ」

「はい。そうさせてもらいます」

　うれしそうな紗世の笑顔をずっと見ていたいが、三年間の転勤を思い出して憂鬱な気持ちが俺を襲う。

　でももう決まったことだ。紗世が俺を将来の夫として見てくれるのなら、時間を作りお互いが行き来すればいい。


「京極さん、大学も卒業したので、大人の世界を見てみたいんですが……」

「大人の世界？」

　紗世の言葉がわからず、微かに首を傾げ彼女を見つめる。

「ここのバーのような、大人の雰囲気が漂う場所に行ってみたいです」

　食事後、まだ俺からの話は済んでおらずバーに誘おうと考えていたが、紗世から提案された。