財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 奈緒は肩をすくめる。

「不注意すぎるぞ。浅野は若いし芸能界の経験もお前の方があるんだ。お前がしっかりしろ。来月には俺をカムフラージュに使えないんだぞ」

「そうなのよね……。それが痛いわ。ねっ、いっそのこと婚約しちゃわない?」

 顔を接近させ、まるでカメラに向かい撮影をしているかのように魅力的に笑う。

 俺は人さし指で近づく奈緒の額を押しのける。

「ふざけるな。恋人のフリならかまわないが、婚約なんてしたら俺に傷がつくだろ」

「だって、婚約していればマスコミも諦めると思うの」

 奈緒は額をすりすり撫でる。

「浅野の帰宅時間と被らない。外で会わない。それを守ればすっぱ抜かれることはないだろう」

「……そうするわ。でもお願いがあるの」

「嫌な予感がするな」

「婚約の公表はしなくていいわ。エンゲージリングを選ぶフリをして。私たちが宝飾店にはいるところをマスコミに知られればいいのよ。今下で張り付いている記者にね」

 宝飾店か……。紗世の顔が思い浮かんだ。
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