財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 今は明るい気分になれずに、ふたりを待っていた。

 これからどうすればいいんだろう……。

「紗世~」

 クリーム色の着物に紺色の袴姿の侑奈が、手を振り近づいて来た。

 髪をアップにして花のかんざしを挿している。和装の侑奈を見るのは初めてだ。

「わぁ~、紗世、凄く綺麗よ。さすが着物に慣れているだけのことはあるわ。私なんて、ぎこちないでしょう?」

「ううん。そんなことないよ。侑奈がこっちに来る姿に見惚れていたの」

「もーう、お世辞はいいの」

 侑奈はあっけらかんと笑う。

「お世辞じゃないって。加茂君もきっとそうよ」

 そこへ紺色のスーツでビシッと決めた加茂君が現れた。侑奈の袴とスーツの色が同じだ。

 身長が百七十五センチあるのでなかなかかっこいいが、京極さんと比べてしまうとまだまだ男の色気というか、いで立ち、佇まいなど、桁違で比較にならない。

 暗い気分だけれど、京極さんとの約束を思い出すと少し晴れる。

「おっ! ふたりとも別人みたいだな。綺麗だよ」
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