財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
《なにを遠慮している? 迎えに行けば移動が楽だろう? 電車では乗り換えが面倒だ。じゃあ、なにかあったら連絡をくれ》

 京極さんは私の返事を待たずに通話を切った。

 たしかに遠慮はあったけれど……。京極さんのことだからそういったマスコミ関係はちゃんと考えているだろう。

 今週の土曜日、京極さんに会える。

 その前日に我妻社長と夕食をともにするのは気が重いが、翌日京極さんと食事が出来るのなら気持ちが晴れてくる。



 金曜日の朝。母は今日から家元業に復帰する。薬のおかげで食事をしても吐き気や胃痛などの症状はなくなっているようで、顔色も表情も良くなった気がする。

「お母さん、今夜は我妻社長と食事をしてくるね」

 トーストを口に運ぼうとしていた母は手を止める。

「あら、そうなのね」

「まあ! 前もって約束していたのなら、言ってくれればいいのに」

 ずっと我妻社長との今日の約束を話そうか迷っていた。私が母に我妻社長とお付き合いをしても良いと口にしてからそんなに経っていないのに、すでに会うなんて乗り気だと思われたくなかったのだ。
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