財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
「いいえ。紗世さんと食事が出来ると思うと、仕事を放り出して出てきてしまいました」

 スタッフが引いた椅子に腰を下ろし、隣の席にバッグを置くと、スタッフに丁寧にメニュー表を手渡される。

「紗世さん、食べられない食べ物はありますか?」

「あ、アーモンドにアレルギーがあります。それ以外なら大丈夫なので、オーダーをお願いしてもいいでしょうか?」

 パタンとメニュー表を畳んで、白いクロスのかかったテーブルの端に置いた。

「アーモンドですか。それは大変ですね。わかりました。私の方で決めさせていただきます。お酒は飲めますか?」

「はい。少しなら」

「では、シャンパンを頼みましょう」

 我妻社長はグレーのスーツを着ていて、ネクタイは薄いピンクで、デートに相応しい格好をしてくれたみたいだ。

 彼はスタッフを呼んで、オーダーを済ませる。

「紗世さん、今回の件で進展はありましたか?」

 スタッフが去ると、我妻社長が真剣な面持ちで尋ねる。

「いいえ……まだなにも……」

「そうですか……」
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