財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
『なにも考えずに俺に愛されろ』

 その通りだ。私はこれを機に色々変わらなければならない。今日の経験が、今後訪れる心の支えになるかもしれない。

 再開されたキスは深く口腔内を舌がねっとりと動き回り、私の舌は夢中で追う。

 背中のファスナーが引き下ろされ、床の上で布の塊になった。ブラジャーとショーツだけになったが、さほど羞恥心には襲われない。

 ここまで来てしまったのだ。目的を叶えるためには恥ずかしがってはいられない。

 京極さんは未経験だと知ったら、抱くのをやめるかもしれない。

「もっと……」

 私は背伸びをして、彼の髪に指を差し入れ唇の輪郭を舌でなぞった。すぐに主導権は移って濃密なキスに変わる。頭がクラクラして、脚の力が失われていく。

 京極さんに体を預けた私は抱き上げられて、ベッドに連れて行かれ白いリネンの上に寝かされた。

「いつの間にこんなに綺麗になったんだ?」

 彼はスーツのジャケットを脱いで近くのひとり掛け用のソファに無造作に放り、ネクタイの結び目に指を入れて軽く揺らして取っていく。その所作をぼうっと見つめた。
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