財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 ワイシャツのボタンを外しながら、私を組み敷きキスをする。

 私は大胆に手を伸ばして割れた腹筋をそっと撫でた。するとどういうわけか京極さんは顔をしかめ、私の両手首を掴んでばんざいをさせるような格好にさせた。

 手首を押さえ、まるでシーツの上に縫い付けるようにして熱く唇を塞ぐ。

 京極さんのいつもつけているダージリンティーとウッディ系のセクシーな香水を大きく吸い込むと、淫らな気持ちになっていく。

「紗世から甘いバニラの香りがする」

「私も、今、京極さんの香り――っんぁ」

 ブラジャーを下にずらされ、露出した小さな頂が熱い舌で舐られ、ビクンと体がしなった。

「一樹だ。紗世。次に名前を呼ばなかったら罰を与えるからな」

 彼は私の言動から未経験だとは思っていないだろう。

 おどおどしたら不思議に思われる。演技をするのよ。演技をしなきゃ。

 自分に叱咤して、にっこり小悪魔的な笑みを浮かべた。

「どんな罰を……? 京極さんっ」

 京極さんは唇が触れ合いそうになる距離に顔をグッと近づける。そして、男の色気を漂わせる眼差しと余裕のある声で囁く。
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