愛しの鳥籠〜完結篇〜

「どちらかが風邪を引けば、もう片方も引いて、ふたりして寝込んで。どちらかがお腹を壊したって、ふたりで全く同じものを飲食していればもう片方も壊す筈なのに…。なのに、ユキったら、わたしが風邪を引こうがお腹を壊そうがピンピンしているんですもの。わたしが、こんなにも『同じ』を求めているのにっっ」

どんな些細なことで、ふたりの運命が違えてしまうかわからない。

そんなとんでもない恐怖心をユキはちっともわかってくれない。だからわたしはユキに「壊された」自我を甦らせて、こうして自ら行動してユキにわかって欲しかった。

「こんな醜い想い、ユキにはわかりっこないだろうけど、わたしは…っ!」

わたしは、いつだってユキと共に在りたいと思っているのよーーー。

最後まで言えなかったのは、強く抱きしめられたから。

「ラン」

ユキはわたしを抱きしめる力をどんどん強めていく。

「ボクはなんて幸せ者なんだろうね。誰よりも愛しい人からこんなに想われて」

「ユキ…」

「ボクも常々思っていた。ランと死ぬ時も一緒だったらどんなに幸せだろうって。でも、ランと違うのはボクはもっと不健全なことを考えていたんだ。でも、そうだね、これからは、どこに行くにも一緒に、病気も怪我も一緒に。そうすれば、怖くないね。なにもーー」

「っ、ごめん、わたしっ」

「ランは何も悪くないよ。壊したのはボク。ランをボクの理想に仕上げたのもボク。何もおかしいことも違うこともないんだ。ボクは死んだってキミを離さないよ」

穏やかな声でわたしの耳元で囁くとそのままそっと唇を重ねて微笑んで。

「愛しているよ、ラン。永遠に」

わたし達は朝まで戯れたーーー。
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