愛しの鳥籠〜完結篇〜
「昨夜、どれだけシたと思っているのよっ!!」
厳密には昨日の夕食から今から2時間前までだ。
ユキはそれでも元気いっぱいな感じだけれど、わたしはもう限界をとっくに超えていた。
「しょうがないだろ。昨夜初めて『花嫁』を抱いたんだ。色々抑えがきかないんだよ」
「なにが『しょうがない』っていうのよっ。もう、バカッ!」
バスローブを諦めたわたしは自分の中にある羞恥心を全て捨て去って一糸纏(いっしまと)わぬ姿のままベッドから起き上がり、新しい下着や服が入ったキャリーケースが置いてある窓際までズンズン進むと、今度はユキが慌て始めた。
「ちょっ、ラン!見えちゃう!誰かに見られちゃうよっ」
「なに?こんな超高層ホテルの最上階の部屋にいて誰に見られるというの?仮に誰かが見ているとして、見られても構わないからユキはそこのバスローブを取ってくれなかったのよね?」
「悪かったよ。僕が悪かった。だから裸で窓に近付くのはやめれくれ。嫉妬で狂いそうだ」
すっかり萎(しお)れたユキが、おずおずとわたしにバスローブを渡してきた。