愛しの鳥籠〜完結篇〜
それを大きな溜め息と共に受け取ったわたしは、そのままバスルームに向かい、昨夜から続いた情事の名残をシャワーでザッと洗い流すと素早く洋服に着替えた。
ルームサービスが届く時間を考えると化粧する暇はなさそうだ。
…この長い髪を乾かす時間もね。
もうずっと腰のラインで整えているこの黒髪はユキのお気に入りで、腰より短く切ろうとしたり染めたりするのをとても嫌がる。
それを知っておきながら強行突破するのは後がとても面倒臭くなりそうなので、ユキの望むままにしている。
「っ、」
そんな事をつらつらと考えながらバスルームを出るとすぐそばにユキが立っていた。
『ユキ、ビックリするじゃないっ』と言おうと口を開いたのに言葉が出なかったのは、ユキがわたし以上に目を見開き絶句状態でいたからだ。
いったいどうしたと言うのだろうか。