最初で最後の恋をおしえて
「本当に突き返すかどうかは、中身と俺の気持ちを聞いてからにしてくれないか」
返事をする前に羽澄は紙袋から出し、リボンを解いていく。蓋を開けると、中にはひと粒のダイヤ。
「わあ」
つい感嘆詞が漏れ、口を押さえる。
「綺麗だろ? ひと目惚れした。特に、涙を閉じ込めたみたいな形が気に入った」
美しくカッティングされたダイヤは、涙の形をして輝きを放っている。
ネックレスになっているようで、羽澄はチェーンを手にし、紬希に近づける。
「ネックレスの名前は"愛を込めて"。俺からは、もう泣かせないという意味を込めて紬希に贈りたい」
ゆっくりと紬希の首にかけていく羽澄。紬希は両手で顔を覆っても、涙を堪え切れなかった。
「また泣かせてしまったな。やっぱり受け取れない?」
紬希は首を横に振る。
「それなら、どうして泣いているのか聞かせて」
羽澄は紬希の髪を優しく梳かす。紬希はつかえつつ、気持ちを話した。