最初で最後の恋をおしえて
「キャッ、あの、どちらへ?」
「バスルーム。このままでは行けないだろう?」
それはそうだ。未だ歩けるのかも怪しいのに、ついていくと豪語して。こんなにもわがままだっただろうか、と自分自身に驚く。
浴室にそっと降ろし、彼はすぐに顔を背けてぼそりとつぶいた。
「次に入るときは、一緒に入ろうと思っていたのにな」
なにか言う前に、彼は出て行ってしまった。残された紬希は赤面させられ、独りごちる。
「言い残していくなんて、ずるい」
煩悩も洗い流す勢いで、熱めのシャワーを頭から浴びた。