最初で最後の恋をおしえて
「もちろん、途中で試させてもらった。きみも若い。女に溺れ、足をすくわれるような男ならダメだ。それから紬希の後ろ盾に、目が眩むようでもダメだ」
『紬希の後ろ盾』の話にピンと来て、紬希は父に不満をぶつける。
「もしかして、だから私たちにマンションを渡したのですか?」
父と紬希の話を聞き、羽澄は力なく言う。
「俺はてっきり、自分の力のなさを自覚させ、支配下に置くためにされたのだと」
父は口の端を上げて笑う。
「まだまだ自分では力不足かもしれないが、自分の力で紬希を幸せにしたいと突き返しに来たではないか。そういう男だと思っていたよ」
コース料理が終わると、早々に解散となった。
「紬希は今日も羽澄くんと一緒にいなさい。わたしも彼のこんな姿は初めて見る」
父が心配するのも無理はない。今の羽澄には気迫が感じられなかった。
そして父は「次は和やかな席を頼むよ」と笑いながら帰っていった。