最初で最後の恋をおしえて

 お昼はいつも葵衣と待ち合わせをして食べている。

 引き出しからバッグを出し、なにげなくチェックしたスマホにメッセージが届いていた。

《ポーズは手話の中で選ぶから、どんな意味があるのか確かめてみて》

 届けられたのは始業数分前。

 ポーズの意味を当てるだなんて、謎解き要素を盛り込んだのかな。

 正解を導く期待感に、気持ちを高揚させながら、ネットで手話を検索する。

『簡単な手話一覧』の中には紹介されていない。『手話 手の甲 撫でる』など検索を工夫して、やっと該当のポーズが出てきた。

「わっ」

 公共の場で羽澄のメッセージを見ないと、あんなに誓ったのに。

 危うく落としかけたスマホ。そこには羽澄のした手話の説明が書かれていた。

《かわいい。または大切。好きという意味も》

「どうしたの? 紬希」

 葵衣が首を傾げて立っている。

「う、ううん。ご飯行こう」

 スマホをバッグに押し込んで、立ち上がった。
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