最初で最後の恋をおしえて
 葵衣とランチを食べながら、話題は羽澄について。

「えー! すぐに帰ったの?」

 順を追って話しているため、土曜に会ったときの状況を説明すると、すぐ解散した点をまず驚かれた。

「そう、だけど。待って、そのあとの色々の方が聞いてもらいたいの。気になるかもしれないけど、グッと飲み込んで」

「わかった。それで?」

 前のめりになる葵衣を横目に、紬希は続けた。紬希にとって、怒涛の出来事の全貌を。

 連絡先を交換し、送り合ったメッセージの内容、それからさきほどの手話までを話した。

 話し終えると、葵衣からは想像と違う反応が返ってくる。

「なんていうか。笑えてきちゃう」

「えっ! どうして?」

「彼にとっては、赤子の手を捻るよりも簡単だろうね」

 職場から近いカフェ。同僚もよく来る場所だから、彼の名は伏せて話す。

「ダメだよ。赤ちゃんの手を捻ったら痛いよ」

 真面目な顔で返すと、「比喩でしょ?」と笑われた。
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