最初で最後の恋をおしえて
「小学生は、男側がプレゼントしたんじゃない?」
「そうですけど、気にしないでください。小学生たちでも買えるかわいい雑貨屋さんのものですから」
「そう。ありがとう。大事にするよ」
羽澄は丁寧に紙袋の中にぬいぐるみを仕舞う。
下手すれば「いらない」と笑顔で拒絶されるかと思ったけれど、お世辞でも「大事にするよ」と言われるとうれしい。
「それでですね。どうですか? 数日過ごしてみて」
平静を装って聞いてみたものの、どんな回答があるのか、いささか緊張する。
「そうだね。思っていた以上にワクワクしている、かな」
思ったよりも好感触な感想を聞き、自然と顔が綻んでしまう。
羽澄は両手を組んだ手を、口元に当てて続ける。
「メッセージは俺にとって意表を突いた内容で。それなのに嫌じゃない。どう返そうかと考えるのも楽しい」
話の合間にチラリとこちらに視線を向けられ、なんとなく小さく会釈する。
「ただ、今日はなかなか。最初、職場で少しもこちらを見ないから、いつ始まるんだろうと気になったよ」
懸念していた点を指摘され、縮こまって謝った。
「すみません。集中すると周りが見えない性格みたいで」
羽澄も常に気にしていられるほど暇ではない。無駄な時間を過ごさせてしまったと、自責の念に駆られていると、いつも通りの穏やかな、けれどやっぱりからかうような言葉をかけられた。
「うん。お陰で如月さんが仕事を頑張っている姿に見惚れてしまったよ」
「見惚れって……。やめてください。羽澄さんにとっては、軽いからかいのつもりかもしれませんけど、言われた方は動揺するんですから」
「そうなんだ。それを聞くと余計にからかいたくなるな」
「羽澄さん!」
つい、力を込めて名前を呼ぶと、彼は両手を上げて降参のポーズを取った。
「冗談。そもそもからかっていないし、俺」
「え?」
「本心。全部」
目まぐるしく頭の中を駆けていく赤面必須のメッセージ。それになにより今日の行動!