最初で最後の恋をおしえて
「これもですか?」
羽澄に向け、手の甲を撫でて見せた。
真似させておいてあとから意味を知り、いろんな意味で穴があったら入りたかった。
それなのに、羽澄は胸を張って得意げに言う。
「もちろん」
そして羽澄は改めて手の甲をもう片方の手で撫でながら、「かわいい」と、紬希の目を見つめて微笑んだ。
「いや、だから」
からかっていますよね。そう続けたかった言葉は羽澄の声に変わる。
「外見がね。すごくかわいいよね」
「えっと、ありがとうございます」
褒められているのだろうけれど、なんだか複雑な気持ちになる。
「最初はね。かわいい子だなと思った。これも本当。でも、ここ数日関わってみて、中身もかわいい子だなって思った」
コーヒーのカップを見つめながら言う羽澄。いつもみたいに目を見て話さない。
「ハハ。なんか照れるな。改めてこんな話をするのは」
やっと紬希を見た羽澄は、目尻を下げた優しい顔をしていた。
またからかわれたと思ったのに、今はじんわりと褒め言葉として胸に広がっていく。最初は外見だけだったと言われたせいもあり、『中身もかわいい子』が真実味を帯びて心に響いた。