最初で最後の恋をおしえて

 話し合いの結果、概ね今のままで良さそうな感触を得て、このまま小学生の恋をお手本にしていこうとまとまった。

「駅まで送らせて」と言われ、駅までの道を歩く。

 歩道を歩いていると、後ろから自転車が追い越していく。さりげなく紬希を守るように体を寄せる羽澄。大きな体に、紬希はすっぽりと覆われた。

「大丈夫?」

「はい。ありがとうございます」

 自転車が通り過ぎれば、元の適切な距離に戻る。それは同僚としての近過ぎず、遠過ぎない距離。

 さりげなく羽澄が車道側を歩き、自転車からも守ってくれる。大人の男性として当たり前の行動かもしれないけれど、下心を感じない行動と、思いがけない近い距離に胸が詰まる。

「今までよく、悪い男に引っかからずに生きてこられたな」

 羽澄は紬希に言ったというよりは、ひとりごとのようにこぼした。

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