もう、キスだけじゃ足んない。
「じゃあ、このままふたりの同居生活は継続ってことで。桃華のほうには俺から言っとく」
「わかった」
「がんばろうね、遥!
双子魂見せつけよう!」
「お、おう……」
謎に燃える杏。
がんばる方向はお互いちがうかもだけど、
プロポーズも受けてくれて、俺たちの間にあったわだかまりはもうすべてなくなって、あとはもうイチャイチャし放題の生活。
ほんと俺、我慢できる自信ないんだけど……。
***
はぁ……やっと仕事終わった。
やっと帰れる。
やっと胡桃に会える。
やっと胡桃のこと抱きしめられる。
やっと胡桃にふれられる。
昼が過ぎるころにはもう、俺の胡桃HPはとっくにマイナスで。
『遥くん!笑って笑って!』
『遥……頼むから笑ってくれ』
『遥……顔こわすぎ』
続いての雑誌の取材での撮影。
カメラマンも、清見も頭抱えてた。
けどもう仕事のことなんか、頭にない。
家のドアの前に立っただけで、このすぐ向こうに胡桃がいるんだと思うと、頬のゆるみが収まらない。
明日明後日は、まじで久しぶりのオフ。
自分のことよりも、寂しい思いさせた胡桃のこと、たくさん甘やかして、また俺でいっぱいにしてあげたい。
「ただいまー」
声をかけながらゆっくりドアを開ければ、あたたかい部屋の光が差し込んでくる。
ふっと肩の荷が降りて、唯一俺が仕事のことを忘れられる時間。
だれにも邪魔されない、胡桃と俺のふたりだけの時間。
「遥、おかえり」
「ん、胡桃ただいま」
そうそう、これこれ。
俺の大好きな声。
そう思ってスニーカーから顔をあげて、胡桃を抱きしめようとしたら。
「……天使?」
「え?」
そのかわいすぎる姿に俺の思考は飛んだ。