最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
ダリルが悪態をつく。本人に聞かれてはまずいので、日本語なのだろう。

「だいたい、貴族の娘がそんな言葉を使うなんて世も末だな」

「なんて言ったんですか?」

「スラングで『面倒だ』と。彼女とガキをさっさと車に詰め込めと。本当にクズだなこの女……」

内容にも驚いたけれど、ダリルらしからぬ汚い日本語にも驚きだ。ダリルがエレノアさんを軽蔑していることに間違いはなさそうだけれど――

「どうしてクズだなんて思っている女性を、志遠さんにあてがおうとするの?」

嫌悪する女性を大切な人の妻に勧めるなんて、むしろ志遠さんへの侮辱ではないのか。

するとダリルは、うんざりした顔で言い放った。

「こんなクズでも一応、権力持っているんですよ。どうせ政略結婚です。愛情なんて生まれない」

そのとき、エレノアさんが私の腕を掴んで引っ張った。

「きゃっ――」

晴を落としそうになり、私は慌てて腕を振り払う。

「ちょ、ストップ! 赤ちゃんいるんですから、手荒なことはやめてくださいよ」

ダリルが間に入って止めてくれたが、エレノアさんは今も激しく目を吊り上げてこちらに掴みかかろうとしている。

「あんたって女は本っ当に……!」

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