最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「ごめんなさい奥様。仏壇の奥に隠されていた紙袋を見て、なにかよくないことに巻き込まれたのではないかと、志遠さんにご連絡をしました……」

私はハッとして目を開く。

仏壇の奥なら気づかれないだろうと思い、ダリルからもらった札束入りの紙袋を置きっぱなしにしていたのだ。

「陽芽が使用人を自分から遠ざけるように外出を頼んだこと、ダリルがイギリス国内にいなかったこと、それから、エレノアが日本に渡ったとアーサーから聞いてピンときた」

そのとき、門の入口から再びコツコツと革靴の足音が響いてきた。

Father!(お父様)

歩いてきたのは、アーサー・ウェイン――エレノアのお父様だ。

上質な深いグレーのコートにダブルのスーツを着て、紳士然とした中折れハットをかぶっている。

表情は険しく、一直線に娘のもとまで歩いてきて、その頬をパン!と叩いた。



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