最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
車が自宅の門の前に到着する。これでようやく陽芽と晴を助けに行けると、停車しきる前に腰を浮かせた。

「シオン。うちのバカ娘を止めてきてくれ」

俺は無言でうなずくと、すぐさま車を出て彼らのもとに向かった。



『お父様……』

頬を打たれたエレノアは茫然としてアーサーを見つめている。

『自分が情けない。お前をここまで心無い女性に育ててしまったとは』

アーサーにはエレノアがこれまでしてきた悪事の数々を伝えてある。伯爵の娘という立場を利用して、卑劣な手段で他人をいいように使ってきたことを。

アーサーは最後まで娘を信じようとしていたが、車中で娘の非情な発言を聞いて、現実を受け止める覚悟ができたようだ。

『お前には貴族の心が育たなかったようだ。社会への貢献、そして慈悲の心。爵位とは振りかざすためにあるわけではない。人を守り慈しむためにあるものだ。それなのに、お前ときたら――』

エレノアはまさか自分の言葉が聞かれていたとは思っていなかったのだろう。しらばっくれようとしているのか、首をかしげて手を広げる。

『いったいなんのことを言っているのかしら? わけがわからないわ』

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