アゲハ蝶は、クローバーを一人占めしたい
「だって、四葉に会いに来てって言われたから。
そんな可愛いこと言われたら、行かないなんて選択肢ない。
鳳雅なら、正面から堂々と会いに行けるけど、僕は無理だろ?
だから、壁から入った」
「そう…だな…」
「後は、よろしく。
僕は、シャワー浴びてから向かうから」
「あ、あぁ…」
鳳雅は、しばらく風呂場に行く揚羽の後ろ姿を見つめていた。
四葉を迎えに行き、車に乗り込む。
「鳳雅くん、揚羽くん無事に帰ってた?」
「え?」
「昨日私、揚羽くんに“会いに来て”ってワガママ言っちゃったの。
それで、夜遅くに会いに来てくれたの」
「あ、あぁ…俺が出る時に、ちょうど…」
「そっか!無事に帰り着いたんだ!
良かったぁ~!」
ホッとしたように、息を吐いた四葉。
「珍しいな」
「ん?」
「四葉が“会いに来て”なんて言うの。
“会いたい”とか“会いに行く”は言うが、“来て”とは言わないだろ?」
「うん…ちょっと、嫌なことがあって……」
「俺にも言ってよ?」
「え?」
「俺だって、会いに行く!
四葉が受け入れてくれるなら、毎晩でも会いに行くよ」
「そんな…
鳳雅くん。
私は、揚羽くんのことが━━━━━━」
「わかってるよ!」
「鳳雅くん…」
「そんなこと、わかってるっつうの……
揚羽、シャワー浴びて来るっつってたから、少し遅くなるみたい」
「うん、わかった」
大学に着き、講義室に向かう途中。
「あ、休講って書いてある」
掲示板に休講の知らせが貼り出されていた。
「じゃあ、午後まであいちゃったね。
揚羽くんに、連絡しなきゃ!」
スマホを取りだし、揚羽に連絡しようとする。
その手を、スマホごと掴んだ鳳雅。
「え……鳳雅くん?」
「デートしよ?」
「え?で、でも……」
鳳雅が少し強引に四葉を引っ張り、大学を出ていった。
「四葉、どこ行きたい?」
「鳳雅くん」
「ん?服でも見に行く?
俺が買ってあげるよ」
「鳳雅くん」
「それとも、他に欲しいもんある?」
「鳳雅くん!!」
ピタッと止まり、鳳雅を見上げた。
「何だよ!」
「どうしたの?なんか……鳳雅くんらしくないよ」
「好きなんだよ…」
鳳雅の四葉の手を握る力が強くなる。
「鳳雅くん…」
「……………四葉の婚約者は誰?」
「え?」
「言えよ。誰?」
「鳳雅…くん…」
「だよな?
俺は四葉と“堂々と”デートすることができる」
「………」
「俺となら、街中を手を繋いで歩くことができるんだ。
揚羽には無理だ!」
鳳雅の視線が、四葉を捉えていた。
そんな可愛いこと言われたら、行かないなんて選択肢ない。
鳳雅なら、正面から堂々と会いに行けるけど、僕は無理だろ?
だから、壁から入った」
「そう…だな…」
「後は、よろしく。
僕は、シャワー浴びてから向かうから」
「あ、あぁ…」
鳳雅は、しばらく風呂場に行く揚羽の後ろ姿を見つめていた。
四葉を迎えに行き、車に乗り込む。
「鳳雅くん、揚羽くん無事に帰ってた?」
「え?」
「昨日私、揚羽くんに“会いに来て”ってワガママ言っちゃったの。
それで、夜遅くに会いに来てくれたの」
「あ、あぁ…俺が出る時に、ちょうど…」
「そっか!無事に帰り着いたんだ!
良かったぁ~!」
ホッとしたように、息を吐いた四葉。
「珍しいな」
「ん?」
「四葉が“会いに来て”なんて言うの。
“会いたい”とか“会いに行く”は言うが、“来て”とは言わないだろ?」
「うん…ちょっと、嫌なことがあって……」
「俺にも言ってよ?」
「え?」
「俺だって、会いに行く!
四葉が受け入れてくれるなら、毎晩でも会いに行くよ」
「そんな…
鳳雅くん。
私は、揚羽くんのことが━━━━━━」
「わかってるよ!」
「鳳雅くん…」
「そんなこと、わかってるっつうの……
揚羽、シャワー浴びて来るっつってたから、少し遅くなるみたい」
「うん、わかった」
大学に着き、講義室に向かう途中。
「あ、休講って書いてある」
掲示板に休講の知らせが貼り出されていた。
「じゃあ、午後まであいちゃったね。
揚羽くんに、連絡しなきゃ!」
スマホを取りだし、揚羽に連絡しようとする。
その手を、スマホごと掴んだ鳳雅。
「え……鳳雅くん?」
「デートしよ?」
「え?で、でも……」
鳳雅が少し強引に四葉を引っ張り、大学を出ていった。
「四葉、どこ行きたい?」
「鳳雅くん」
「ん?服でも見に行く?
俺が買ってあげるよ」
「鳳雅くん」
「それとも、他に欲しいもんある?」
「鳳雅くん!!」
ピタッと止まり、鳳雅を見上げた。
「何だよ!」
「どうしたの?なんか……鳳雅くんらしくないよ」
「好きなんだよ…」
鳳雅の四葉の手を握る力が強くなる。
「鳳雅くん…」
「……………四葉の婚約者は誰?」
「え?」
「言えよ。誰?」
「鳳雅…くん…」
「だよな?
俺は四葉と“堂々と”デートすることができる」
「………」
「俺となら、街中を手を繋いで歩くことができるんだ。
揚羽には無理だ!」
鳳雅の視線が、四葉を捉えていた。