隠された彼の素顔

「あの! グリーンさん。少し、お話させてください」

 彼は立ち止まり、振り返る。

 私はギュッとスカートの前で、手を握り締め思い切って告げる。

「ベランダの観葉植物。すごく好きです。あの、私が気になっていた彼が買っていったものと、ほとんど同じで。だから、あの」

「シッ」

 横から声がして、レッドのボディースーツを着た緑川さんに手を引かれた。

「こっち」

 関係者以外立ち入り禁止。デカデカと書かれた立て看板の奥にある控え室に、足を踏み入れた。

 しばらく小道具置き場らしきところで待っていると、緑川さんに促されワンボックスに乗り込む。

 私が乗ると同時に車は発車した。ガラスは濃いスモークが貼られ、中からでも外が見にくい。
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