メルティ・ナイト
躊躇なく3回ノックをし、扉を開ける赤坂さん。
案内してくれるだけでも親切なのに、どうやらまだ助けてくれるらしい。
緊張していたから、本当に助かる。
言葉はなしに控えめにお辞儀をすると、気にしないでとも言うように手をヒラヒラと振ってくれた。
赤坂さんの背がわたしよりもうんと高いことを意識しつつ、彼の後ろをついて行く。
中に入ると、脇にある書棚のそばで書物に視線を落としていた女の人が、わたしたちを捉えた。
校長先生……、だよね?
見た目は30代後半のように見える。思ったよりも若い。
柔和な表情を浮かべていて、わたしと目が合うとぱっと瞳を輝かせた。
「牧ちゃん、転入生連れてきたよ」
挨拶しようとした矢先、赤坂さんの言葉に目を見開く。
ま、牧ちゃん?!
校長先生に、ちゃん付け?! うそでしょ?!