メルティ・ナイト
びっくりして声が出せないわたしの代わりに、校長先生らしき人が嬉しそうに返事をする。
「あら、赤坂くん。お迎えしてくれたのね。ありがとう」
「まあ、転入生にこの学校は刺激が強いので」
「やだ自分が言えるの?そのセリフ」
冗談を言い合うふたり。
仲睦まじく、なんとも会話に入りにくい。
どうしようかとおろおろしていると、牧ちゃんと呼ばれたその人が、わたしに目を向けた。
「はじめまして、相坂さん。校長の牧冴子です」
「あっ、先日はお電話ありがとうございました……!相坂すずかです!」
ぺこりと頭を下げると、校長先生は赤坂くんの背中をバシバシと叩く。
「んまあ、可愛い!男だらけのむさ苦しい学校に、ようやく癒しが現れたわあ」
「牧ちゃん、俺男なの。気まずいからやめて」