メルティ・ナイト




ニコニコと笑みを絶やさない校長先生。

電話をしたときに感じたとおり、親しみやすくて優しい雰囲気を纏っている。


ふたりの掛け合いを眺めていると、はっと何かを思い出したように校長先生が手を叩いた。



「さて、相坂さん。せっかく我が楼炎高校に来ていただいたんだけれど、そうこうしているうちに予鈴が鳴るのよね」

「えっ、そうなんですか……!」



と返すけれど、はたと思い出す。



きっとわたしが、ここに来るまでに何度も葛藤していたせいだ……!


申し訳なくなって謝ろうとするも、その隙を与えず校長先生は言う。




「えっと、相坂さんは3年C組ね。最終学年だけれど、1ヶ月前に始業式があったばかりだから、まだ馴染みやすいと思うわ」






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