メルティ・ナイト


いまは5月の初旬。


春の暖かい陽気と緑を彩る葉の、ミスマッチな感じがなんだか心地いい季節。


3年生のこの時期になって転入しても、友達はできないんじゃないかなと思っていたから校長先生の気遣いは嬉しかった。


こくりとうなずくと、彼女はさらに言葉を紡ぐ。



「C組はかなり個性的なクラスなんだけれど……、まあ、赤坂くんと仲良くなったようだし大丈夫よね?」


「こ、個性的……」



その響きに、たらりと冷や汗をかく。

不良と呼ばれる人たちだらけの学校に来てしまったことは、さきほどなんとか頭の整理がついた。


けれど、正直まだ状況を飲み込めていない。



……帰り際にカツアゲされたり、鉄バット振り回されたり、バイクで追いかけられたりするわたしを想像してみる。


どれも恐ろしくて、ぶんぶんと頭を横に振って思考をかき消す。


そ、そんなことならないよね……。

大丈夫、赤坂さんもいるし……。


ふう、と一旦心を落ち着かせる。


ただ、会いたい人がいたから転入したけれど。

その軽さと、ここに来た瞬間感じた重みは、ぜんぜん釣り合ってない気がした。



「うふふ、大丈夫。悪い子はいないから」


「が、がんばります……っ」





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