メルティ・ナイト
いまは校長先生の言葉を信じて、クラスのみんなと仲良くなるしかない。
きっと、少人数でも女の子はいるはずだ。
だって、この学校にマオちゃんがいるんだから。
「じゃあ、また困ったらいつでも来てね」
柔らかな微笑みとともに添えられた言葉に、心が温まる。
「はい……っ、ぜひお願いします」
わたしの様子に満足そうにうなずき、彼女は赤坂くんを見る。
お呼ばれの気配がしたのか、扉にもたれていた彼は手を挙げる。
「ここからは赤坂くんにバトンタッチ。よろしくね」
「おっけー、任せといて」
飄々とした赤坂さんの返事に、校長先生は一変して怖い顔を作る。
「あ、あと、次また牧ちゃんって呼んだらしばくからね?」
「おーこわ。年齢不詳の元ヤン女はこれだから」
「赤坂くん? 放課後、校長室にいらっしゃい」
「無理。すずかちゃんと戯れたいじゃん」
「せっかくの女の子の転入生なんだから、お願いだから変なちょっかいかけないでね」
「はいはい、わかってます」