メルティ・ナイト



「マオ……?」



わたしが再度口を開こうとすると、赤坂さんは彼女の名前に怪訝そうな表情を見せた。

さっきの衝撃発言に重なり、なんだかデジャヴみたいだと思う。


またなにか、わたしの言葉に問題があったのかな……と不安に思いつつ、会話を続ける。




「わたしが引っ越してから彼女とは疎遠だったんですけど。最近になって、この土地に戻ってきて。それで、聞いたんです」

「うん? ……なにを?」



相槌を打ってくれる彼のおかげで、言葉に熱がこもる。

赤坂さんは聞き上手なんだなあと感心しながら、ぴっと人差し指を立てる。



「高校生の男の子たちが、土曜日だったと思うんですけど、バスで言っていたんです。
〝楼炎高校のオグラマオがさっきこのバスに乗っていた〟って」




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