メルティ・ナイト



そう言った途端、赤坂さんの目がわたしを貫いた。


ありえない。

そう言いたげで、まさにそんなふうに。



異性としてじゃなく、強く向けられる瞳にドキッとした。


どうやら赤坂さんが反応したのは、マオちゃんの名前らしい。

そんなめずらしい名前じゃないと思うんだけど……。



フリーズしたまま動かない彼を、見つめ返す。


でも、わたしだって、この学校はマオちゃんに関するなにかを握っていると思っている。


あの日聞いた噂は、ただの空耳ではないと断言できる。

もちろん、この学校にマオちゃんがいないことはもう理解した。


そんなことで、彼女に会うことを諦めようとも思わないけどね。



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