メルティ・ナイト
困惑気味のわたしに、さらに猫目の彼は言う。
「すずかちゃんって呼びにくいから、すーちゃんって呼んでいい?」
「えっ、ぜひ……!」
可愛いあだ名だと目を輝かせると、彼は本物の猫のような瞳を細めて微笑んだ。
「やった。じゃあ、俺のことも楓って呼んで」
「えっと、じゃあ、楓くん……?」
「んー、“くん”はいらないけど、まあそれでいっか」
にこっと笑いかけてくれる楓くんの、人懐っこい言動に心が温まる。
心理的な距離が縮まったようで幸せな気分になる。
お友だちができるか不安だったから、そんな気持ちを吹っ飛ばしてくれる楓くんの距離感の近さが、いまや助かっていた。